【景表法】ドコモの「アハモでギガホ勧誘」は景表法違反のおとり広告か?

こんにちは。
宮崎の弁護士・中小企業診断士の田所伸吾です。

今朝、このようなニュースが出ていました。弁護士の視点から、この問題について解説します。


昨年12月から同社がドコモショップを営む携帯販売代理店に対し、アハモを前面に押し出して客を勧誘したうえで、高額な大容量プラン「ギガホ」などに誘導するように指示をしていたことが、東洋経済の取材でわかった。ドコモは事実と異なる説明をするように代理店に奨励しており、景品表示法違反(おとり広告や優良誤認、有利誤認)のおそれがある。

https://toyokeizai.net/articles/-/419138
「アハモでギガホ勧誘」は景表法違反?図解してみました

おとり広告とは?

景品表示法5条3号に基づく告示である「おとり広告に関する表示」によると、

景品表示法5条3号に基づく告示である「おとり広告に関する表示」

一般消費者に商品を販売し、又は役務を提供することを業とする者が、自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を除く。)に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表示

一 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示
二 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
三 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
四 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務についての表示

とされています。

簡潔に言うと、「商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず、購入できるかのような表示」をする場合が「おとり広告」とされます。

代表的な例としては、賃貸不動産の「おとり物件」ですね。とても良い条件なのに家賃が安い!と思って行ってみると、実際にはその物件は用意されていなかったような場合は「おとり広告」となります。

ドコモは景表法違反?

報道が事実であるとすれば、今回のドコモの場合も、


アハモはオンライン契約なので、そもそも出張販売(ショップ付近のイベントスペース等で店を出すこと)では契約できない
それにもかかわらずアハモを前面に押し出して客を呼び込み、実際には「ギガホ」など違うプランを売り込んでいる

という点で、「おとり広告」と言って差し支えないと思います(告示の1号及び4号)。

「おとり広告」をしてしまわないように注意しましょう

「おとり広告」のような不当表示を行った場合には、消費者庁等より「措置命令」や「課徴金納付命令」が下される可能性があります。

措置命令とは、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを内容とする命令です。

措置命令自体は事業に対する損害を与えるわけではないですが、措置命令が下されたことは公表されますので、レピュテーションリスクを生じてしまいます

また、課徴金納付命令が下された場合は、課徴金を納付しなければならないため、事業に直接のダメージが生じてしまいます。
課徴金の額は、原則として、課徴金対象行為を行った商品等の売上額の3%です。

「うちはおとり広告なんて行わない」と思っている方も多いと思いますが、「おとり広告」に該当するのは、今回のような典型的なケースばかりではありません。


例えば、
目玉商品が限定10個しかないにもかかわらず、個数を記載しなかった場合(告示の2号)
目玉商品が「おひとり様1点限り」であるにもかかわらず、その旨を記載しなかった場合(告示の3号)
なども、「おとり広告」とされる可能性があります。

せっかく頑張ってプロモーションを考えたのに、処分によってかえって事業にダメージを負ってしまうのは非常にもったいないことです。不安や疑問点がある場合には、景表法に詳しい弁護士までご相談ください。

アスノ法律事務所の田所です。宮崎市の弁護士・中小企業診断士として経営者の方のお力になれるよう、日々勉強しています。
>宮崎市の弁護士・中小企業診断士 田所伸吾のプロフィール

お気軽にお問い合わせください。0985-86-7680受付時間 9:00-17:30 [ メールは24H受付 ]

相談の予約をする